LIFEの「あるある」と現状

科学的介護を実践するために、国が提供する「LIFE(科学的介護情報システム)」の導入が介護事業者に浸透しつつあります。LIFEの流れを簡単にまとめると、介護事業所で要介護者(利用者)個人のデータを定期的にシステムに入力することで、システム側が収集したデータを解析し、フィードバックを提供するというものです。フィードバックの内容は、介護の内容や生活習慣などの改善点となります。客観的なフィードバックが届くことで、介護の正当性や効果などを把握できるというものです。これらを継続して取り入れることで、他の利用者にも応用できるなど、業務改善にもつながるという目的があります。

しかし、理想論に過ぎないという声もあるようです。現状としては「利用者の意欲や生き方といった価値観は数値化できない」「フィードバックの内容が現場レベルの内容にそぐわない」といった声が「あるある化」されています。年齢・居住地・要介護別のデータがそろわないまま平均値が出されているため、フィードバックモデルとして利用できないという声が多いのです。

また、入力内容が多く事務仕事を圧迫しているという意見が圧倒的に多い状況にあります。日報作業のほかにデータベース入力など二度手間になりつつあるため、必要な情報のみの入力など簡素化が求められています。現状として、利用者個人に寄り添った介護フィードバックを提供できるまでには、データ蓄積量が足りずまだまだ時間がかかるといった見解もあるようです。